矛盾して聞こえるかもしれませんが、最も効果的な方法でのアピールには、何種類かのやり方があります。
最も効果的なのに何種類も?と思うでしょう。
これには共通する、あるキーワードがあります。
それは、とにかく目立つ事です。①正攻法で行くか、②逆を行くか、③何かに変換するか、他にも沢山あるでしょう。
僕のように哲学的で思慮深い人間は、沢山の選択肢があっても「うん、沢山あって分からないな…」と、瞬間的に悟る事ができます。
幸か不幸か、僕は全てのケースを試したことがあるので、一つ一つ紹介していきます。
① 正攻法で行く場合
単純に掃除の時間を「増やし」ます。「長く」するのではありません。
長くするのは意味がないのです。
1日に1回やってくる長くめんどくさい掃除の時間よりも、1日に何度もやってくる短い掃除の時間を作るのです。
1回あたりの時間は5分以内にしましょう。それを30分に1回行うことにします。
いいですか、30分に1回です。1時間に1回では意味がありません。
もちろん生産性は落ちます。
しかし、これは一時的な事ですので安心してください。
大事なのは生産性が落ちても、止めない事です。
活動を根付かせたいのなら、少なくとも2ヶ月は我慢しましょう。
早いと1ヶ月後くらいから効果が出始めますが、こんなにも掃除の時間があると、初めから汚さなくなります。
これまでは生産性の向上という大義名分(本当はそうじゃない)のもとに、モノを広げて置いたり、たまに使用する工具等を近くに置いたりしているだけで、本当は作業性が良いだけのことが多いのです。
それも作業性が良いという本質を極めての配置や行動ではなく、単に「楽」がしたい場合が多いのが現状です。このように、正攻法で行くのなら、単純に量を増やしましょう。
②逆で行く場合
正攻法の逆は、発想力が必要とされるので、なかなか出来ないものです。
私のように文学的な人間の場合、村上春樹さんの作品が有名な事も、何度も作家の名前を聞くから、きっと有名なんだなぁ…。と、簡単に全てを理解できてしまいます。
それはさておき、逆で行く場合は掃除の時間自体を無くしてしまいます。更に「綺麗に現状回復しろ」とも、「掃除しよう」とも言ってはいけません。少しイヤラしい方法を取ります。
A社では5S活動に継続性が無く、工場長がいつも口を酸っぱくして注意したり、強化月間等を設けて5S活動の推進を行っていました。
社内の5Sポスターも、躾を中心に他のSが取り巻く形で表現されています。
しかし「5S活動が根付かない」、「躾がうまくいかない」、といって私のもとへ相談に来られたのです。
そこで私は、これまでの5S活動の経緯と取り組み方を聞き、ある提案を行いました。
それは「1ヶ月間、工場長は社員通用口の清掃を始業時間の1時間前から10分前まで行って下さい!」というものです。
最初は厳しい表情をされておりました。
説得の末、ようやく工場長も納得して下さり1ヶ月間だけという期限付きで、行ってくれました。
すると開始2週間後に工場長から電話がありました。
私は「もう止めたい」というギブアップ宣言か?と思いましたが、違いました。
工場内が綺麗になってきたと言うのです。
私は早速効果があったと、胸を撫で下ろしました。そして更に2週間が過ぎました。
工場長は欠かす事なく1ヶ月社員通用口の清掃を続けて下さいました。
そして本格的に5S活動の改善支援に入る事にしました。
最終的に、この工場では5S活動が継続的に行われるようになり、今では見違えるように綺麗になりました。更に生産性もupしました。
中でも一番嬉しかったのは、その工場ではある意味“伝説”となっていた開かずの間と、十数年その場所に存在し、移動する事のなかった大きな棚を片付ける事が出来、スペース的に大きな余裕が出来た時です。
工場長から「ウソみたいだ! あの部屋とあの棚は、もう風景の一部と感じていたが、まさか片づける事ができるとは思わなかった。有難う!!」と大変喜ばれていた事です。
みなさんの工場や事務所には、既にオブジェと化している棚やモノがありませんか?
一度探してみて下さい。きっと1つはあると思います。
では、なぜ?ここまで変わる事ができたのでしょう。
トップ自ら行動する事の重要性をお話します。
当初、工場長は5Sとは「やらせるもの」,「守らせるもの」という認識があったようです。
ですから“躾”が一番大切だと考えていたのでしょう。
しかしこれは、従業員から見ると「やらされる事」,「やるべき事」という事になります。
誰もが苦痛を伴う活動には積極的になれるはずがありません。
本来、整理・整頓や清掃・清潔がなされた状態というのは、綺麗であったり使いやすい状態であったりするわけですから、気持ちが良いはずです。
それが、やらされる“義務”となった瞬間から苦痛を伴う事への変化したのでしょう。
自分の家じゃないからやる気が出ない、という事ではありません。
綺麗な場所と汚い場所では、誰もが綺麗な場所を選ぶはずです。
指導する立場の人間は自分がまずやる事を示し、そしてその姿を見せる事が重要です。
今回は工場の従業員の人が出勤する際に、その通用口を“その工場のトップ”が目の前を掃除しているわけですから、まず自分がやる事を示す事。その姿を見せる事。の両方を満たしていました。
とはいえ従業員の人は1ヶ月間、通りにくい雰囲気で出社されたに違いありません。
毎朝自工場のトップがその姿勢を見せる事で、言葉よりも重く且つ的確に相手に想いを伝える事(少し露骨でしたが)に成功しました。
その結果、清掃に対する関心が高まり、今までは風景と化していたゴミに目が行く事で、結果として工場内が綺麗になったというわけです。
このように逆で行く場合は、相手に気付かせる事が重要です。
ゴミや不要物等を、ソコに有ることが不適切であることを認知させないといけないのです。
事例の話は劇薬ですが、意識を変えるには効果的な方法です。
③何かに変換する場合
目指すのは『しなくとも出来る』状態です。
商売の世界でも、よく『売らずに売る』とか言うでしょう。コレと同じです。
ですが、5S自体が楽しいものではないと思いますので、楽しいものに変換してしまう事をお勧めします。
私のようにゲームの達人ともなると、「2DSって退化しとるがなw」とか直ぐに分かりますし、マインスイーパの地雷かどうかで、ボタンを押すのにずっとドキドキ出来るほどです。
5Sの場合、例えば点数を付けるだけでもゲーム感覚になります。
ゴミ1個が1点、適切な場所に整頓した場合5点とか。
更にスポーツの要素を取り入れて、ポジションを決めたり、フォーメーションを組んだり、チーム対抗で集めたゴミの量を競いあって、運動会の玉入れにならって勝ち負けを決める等、色々な工夫をするだけで「掃除をする」という意識が薄れ、『しなくとも出来る』状態を作りやすくなります。
他にも、皆で万遍なく掃除をするのでは無く、「この1枚のタイルを新品同様にピカピカにする選手権!」とか企画を作って各エリア毎にピカピカのタイルを1枚ずつ増やしていくのです。
そのピカピカのタイルでテトリスみたいに模様を作っても面白いかもしれません。
結局この活動も事業チックに言えば、ピカピカのタイルと汚れたタイルの「見える化」なんて言葉に置き換わり、面白味が薄れてしまいます。何をするにしても「面白く!」、且つ「目立つ!」活動を行っていけば、『しなくとも出来る』状態を達成するのは簡単です。
おわりに
効果的な方法とは、先にも書きましたが「面白く、目立たせる!」事です。
どうしても、それをやらずには居られない、やりたくなる方法を考え出し実践していく事です。これにはコツがあります。
私はマジメな事を考えているときほど、「あ!マジメになってた・・・不真面目に戻そう」と取り組んでいます。
よく、「マジメに考えたのか?」とか言う人が居ますが、マジメなときほどロクな考えは浮かんできません。
会社の会議が良い例です。マジメで正しい意見が通るワケでは無く、ただ声の大きい人の意見が通るものです。
それよりも頭をドンドン柔らかくして不真面目に真剣になってみると良いですよ。
パチンコメーカーのCMのキャッチフレーズで「アソビにマジメ」というのがありますが、まさに名言ですね。
故ジョブスさんが若いときにLSDを吸っていましたが、そこで得た自由な発想を保持したまま、マジメな製品開発を行ってきたのでiPadやiPhoneは生まれたのだと思います。
さぁ、日本人も皆でジョブりましょう!
自由な発想から、優れた効果的な手法は生まれて来るのです。
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