「幸せになりたい?だったら原始時代からやり直せ!」第4話です。
初めての狩猟に行きました。どうなるのでしょうか…!?
初めての狩り
★自分の現在地を知り、出来ない事と出来る事を明確にする
リョクは、初めての狩りに緊張していた。
とは言え、そんないきなり獲物と出会う事なんて無いであろう、と少しタカを括っていた。
しかし、リョクはこれまでの人生で「予定通り」に事が進んだ事が無い事を知っていた。
本人にとっては「タイミングが悪い」のである。
良い事も悪い事も、本人の思ったタイミングではやってこないのだ。
いつも突然のタイミングで不運か幸運の種はリョクに飛び込んでくる。
この日も、そんなリョクの気持ちとはうらはらに、いきなり不運か幸運の種が飛び込んできた。
リョクが草原を歩いていると、遠くの茂みに1匹の大きなイノシシを見つけた。
オオイノシシは未だこちらに気づいていない。
リョクは、オオイノシシに気づかれないようにそーっと近づいた。
「なるべく音を立てないように慎重に行動しなきゃ。相手に気付かれてからでは、僕にはどうする事も出来ないかもしれないぞ。」
リョクは音を立てずに身長に歩を進めたが、次の瞬間、突然オオイノシシと目が合っている事に気が付いた。
いつの間にかオオイノシシがこちらを向いていたのである。
オオイノシシは大きな鼻息をつくと、こちらに向かって突進してきた。
リョクは間一髪オオイノシシの突進を避けた。
避けた瞬間、リョクは草原の葉が風に飛ばされ、さっきまでオオイノシシが居た方向へ飛んでいくのを見た。
リョクは思った。
「あぁ・・・僕は風上から近づいたのか。だからオオイノシシに気づかれてしまったのか。」
今さら自分の失敗に気づいても、今はそれどころではない。
オオイノシシが何度も突進してくるだ。
まさに絶体絶命の危機。
リョクはオオイノシシの突進を躱す事は出来たが、それはいつまでも続くわけではない。
リョクには特別な体力がないのだ。
徐々に避ける際のオオイノシシの牙との距離が近くなってきた。
「はぁ、はぁ、そ、そろそろダメかなぁ・・。もう息も辛いし、疲れて足も動かないよ。」と、リョクがそう思った瞬間!
木々の間からソウが飛び出してきた。
あぁ、助かった。
とリョクが思った瞬間、ソウの口から信じられないような言葉を耳にした。
「ちっ!少しはオオイノシシにダメージを与えるかと思って見ていたが、逃げてばかりで、ちっとも攻撃しねぇんだな!オオイノシシもバテてきたが、俺がもう我慢できなくなっちまって、思わず飛び出しちまったじゃねーか!リョク!お前はソコで見てろ。この肉は俺のもんだからな!」
そう言うと、ソウは構えたヤリで何度もオオイノシシを攻撃した。
ところがオオイノシシも負けてはいない。
傷つけられた痛みで更に興奮し、リョクに突進してきた時よりも速いスピードでソウめがけて突進してきた。
はじめは「み、見ていただって?」と自分のピンチに助けにも来ない兄に怒りの感情を支配され、その状況に呆気にとられていたリョクであったが、自分とは身体的特徴が大きく違うソウが、どのようにしてオオイノシシと戦うのか?リョクの興味はそちらへ移っていった。
そして、じっくりソウの狩猟の仕方を観察するのであった。
「あ・・・あんな動きは自分にはできないな・・・。でも、ああやって動けば戦いやすくなるのかぁ。」リョクは先ほどまでの危機を忘れて夢中になって狩猟方法を分析している。
リョクは、ソウの動きもオオイノシシの動きも一つも見逃さず、ワクワクしながら戦いの様子を観察していた。
やがて、ソウとオオイノシシの攻防も30分を過ぎようとした頃、ついにオオイノシシは出血により倒れた。
「はぁ、はぁ、はぁ、見たかリョク!俺様にかかれば、こんな大きなイノシシだって簡単に倒せるんだぜ!お前みたいに何の取柄もないヤツは、オオイノシシなんて一生かかっても獲れないだろうな!」ソウは狩猟の疲れとは裏腹に自慢気に言い放った。
そう言い終わるとソウは、倒したオオイノシシを手際よく縛り付け、引きずりながら村へと帰っていった。
先ほどのソウとオオイノシシの戦いを、じっくり観察していたリョクは、自分のように特別な体力も腕力もない人間が、どうやったらオオイノシシを倒すことができるのか、いまの自分には何が出来て何が出来ないのか、を真剣に考えながら村へと帰った。
※次回に続きます。
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