序章:はじめに
私が本業の方で知り合いになった、青年に起きた話です。
ひとまず彼を「田中さん」としましょう。
この話は20代後半の青年に、40を過ぎても人生の折り返し地点を回っていない!と頑なに信じているオッサン(私)が、軽い気持ちでアドバイスしたら本当にそうなっちゃった、嘘のような本当の話です。
きっと皆さんの中にも、彼女が欲しい!という人は居るでしょう。
どうして彼女が出来ないのか?
理想の彼女を作るには、何をしなければならないか?
そんな気付きのキッカケになれば幸いです。
第1章:第1のアドバイス ~理想の彼女の居る場所~
田中さんとは仕事の話が中心でしたが、徐々にプライベートの話をするようになりました。
聞いてみると、田中さんはしばらくの間、彼女が居ないようでした。
そこで私は聞いてみました。
「どうして彼女が出来ないのか、分かりますか?」
田中さんは答えました。
「それが・・・ちっとも分からないんです。別に自分に自信が有るわけでは無いのですが、周りの友達には彼女が居て幸せそうです。中には結婚している友人も居ます。どうして出来ないんでしょうね・・・?」
そこで私は、田中さんの理想とする彼女について聞いてみました。
「田中さんが理想とする女性は、どんなタイプで、どんな事を趣味として、どんな生活を送っていると考えますか?」
実は、ココが重要なんです。みんな理想の彼女が欲しいにも関わらず、自分の理想のタイプを「具体的」に想像できていないのです。
私は田中さんの理想の彼女である人物像を、詳細に答えてくれる事を求めました。
「そうですね・・・。僕の理想とする彼女は活発で、自分の意見をハッキリ言ってくれる人が良いですね。スポーツなんかしていると、更に良いです。なんか、元気そうで良いじゃないですか!」
田中さんの好みは別にして、私は理想の彼女像を聞いて、こう答えました。
「では、田中さんは、その理想の彼女が『居そうな』場所に、休みの日とかに訪れていますか?田中さんは活発な女性で、且つ自分の意思が強い女性が好きなんですよね!?その彼女が現れそうな場所に、田中さん自身は空間を共有する事をしていますか?」
「!!」
田中さんは、何かに気付きました。
そうです。理想の彼女が欲しいにも関わらず、理想の彼女が居そうな場所にすら、田中さんは出現していなかったのです。そりゃあ、理想の彼女に会う事が出来るはずがありません。
「わ、分かりました。ちょっと調べてみて、理想の彼女が居そうな場所で、且つ自分も嫌ではない趣味とか休日の過ごし方を考えてみます!」
そう言うと田中さんは、颯爽(さっそう)とその場を後にしました。
第2章:彼女の的を絞る事は重要か?
1ヶ月ほど経過して、田中さんに近況を聞いてみました。
「どうですか?あれから何か変化はありましたか?」
すると田中さんは、楽しそうにこう答えました。
「実は、あれからテニスを始めたんですよ!学生時代にもテニスがやっていたので、運動不足解消にもなって、本当に毎日が充実していますよ。ありがとうございました!」
私は、田中さんの最初の質問が、彼女欲しいという事だったのを忘れ、田中さんの日常が充実しているのなら良かったな、と満足に微笑みました。すると田中さんが・・・・
「・・・で、ですね・・・。き、気になる人は何人か居るのですが・・・、その・・・具体的に彼女を作るにはどうしたら良いですかね!?みんな活発で行動力がありそうな人ばかりなので、色々とお話してみて一番気の合う人にアプローチ使用と思うのですが、どう思いますか?」
前回、理想の彼女が居そうな場所に行かなければ出会うはずがない、という余りにも当たり前な事を話しただけなのに、なんだか話が具体性を増してきてしまいました。
その時は、魚釣りの事を考えながらした話です。魚釣りも同じで、いくら高級な餌を付けていても魚が居ないところに釣り糸を垂らしていたのでは、魚は釣れません。そんな軽い気持ちでアドバイスした事が、意外にも的確なアドバイスとなっていたようです。
さて、一番気の合う人にアプローチをしようという田中さん、果たしてそのままで良いものでしょうか・・・。そこで私は、次のアドバイス(これも適当に)を行う事にしました。
第3章:第2のアドバイス ~自分が好きよりも相手が好きかどうか~
「一人の人に好かれるだけでも大変ですよね。問題は自分が好きであっても、相手が自分を好きかどうか?にかかっています。では、意中の人に“だけ”好かれるのが良い事でしょうか・・・?」
田中さんは驚いたように答えました。
「あ、当たり前じゃないですか!意中の人だけに好かれたら、それでいいんですよ。」
私は、そうではない事、が故にしなければいけない事を伝えました。
「意中の人だけにすかれるような自分になって、その結果、意中の人との交際が出来なかった場合、その自分は他の人には好かれようもありません。だって意中の人好みの自分になってしまったのですから、他の人には通用しないのです。サバを釣る餌と、イカを釣る餌は違います。これは分かりますね。」
「はい。」
「ですので、ここは一気に5人くらいを狙ってアプローチをしていきましょう!」
「えぇぇぇぇ!ご、5人ですか?」
田中さんは驚きました。
「えぇ、5人です。10人でも良いんですよ。なぜなら、1人の人に好かれるだけなら、その人よがりの自分になれば良いだけですが、多くの人に好かれようと思ったら、人間的に素晴らしい人でないと好かれる事はありません。人間的に素晴らしい人になったのなら、きっと告白すれば彼女ができるでしょう。」
「な、なるほど・・・。」
田中さんは、おっさんの適当なアドバイスであるにも関わらず、なにやら悟ったような表情を浮かべると、早速やってみます!と言い残し、その場を後にしました。
最終章:おわりに
その後、3ヶ月くらい経った頃でしょうか。季節は夏から秋に変わって、すっかり人肌恋しい季節がやってきました。
私がその朗報を聞いたのは、秋にしては少し日差しの強い、そんな夏とも秋とも分からない日だった。
ある会場でセミナーを行う予定であった私は、そのセミナーを受講するという田中さんを車に乗せ、現地へ向かった。その車中での出来事である。
ちなみに、その会場に車で行くのは2回目であったが、私は道すら覚えておらず、だいたいアッチの方だと決めつけて運転していたときの事だ。
「あ!そういえば報告を忘れていました。言われたとおりに、5人にアプローチ出来るよう、万遍なくどなたにも好かれるような人物で居ようと努力を重ねた結果、ついに念願の彼女を作る事に成功しました!」
田中さんは、実に嬉しそうに報告を行った。私は、左折専用レーンに居たにも関わらず、右折するほどの衝撃を受けた。
「お、おぉ・・・おめでとう!(まさか)アドバイスが役にたったんだぁ・・。本当によかったね!」
自分でも、まさか自分のアドバイスで本当に彼女が出来るとは思っていなかった。何故かというと、当たり前の事を当たり前にアドバイスしただけだからだ。
この話で重要なのは、田中さんの純粋さである。田中さんが純粋であったからこそ、私のアドバイスを素直に実行し、その結果として彼女をゲット出来たのである。
どうせ自分なんか・・・とか、そうは言っても現実は甘くない・・・とか、懐疑心バリバリの人は、おそらく純粋に実行はしないだろう。少し「やってみるか」程度でカジって、上手くいかなかったら「ほら、見た事か!」と自分を納得させるだろう。田中さんと違い、こういう人に彼女が出来ない事は当たり前で、それはその人が変わらない限り永遠(エターナル)なのだ。
私は、このまま田中さんが幸せに彼女と過ごせれば良いな、と思いながら車のアクセルを踏んだ。
それはセミナー会場とは違う方向であったが・・・。
もちろん、セミナーに講師が遅刻するという大失態を犯すのは、これから間もない事である・・・。
ブログランキングに参加しています。よかったらポチッと
応援よろしくお願いします。m(_ _)m